☆義損金給付が受けられない事実


被災地での行動でも書き添えてありますが、届け出制となっている部分はあくまでも窓口申請です。その窓口に向かっていける方が、申請できるのですね。

 

罹災などの届出には、本人確認(特に身分証や保険証、付近住民の確認、役場職員との顔なじみなど)さえできれば、受け入れてくれます。

発生初期では、手続きに時間を裂く事ができませんので。

 

しかし、これが給付金交付受付けとなると、手元に無いものが必要となるのです。それが毎回問題となる「印鑑・通帳」。義損金給付は口座振込みなのです。

日本国は指紋押捺制ではありませんので、犯罪者では無い限り、拇印を照合するシステムがありません。

 

これを経験された方はわかると思いますが、寝静まった時に被災するかもしれませんし、津波で流され、土砂に埋もれている場合、どのように探せと言うのか?不思議でなりませんよね。

 

もちろんこれは個人でのことですが、事業再開を想定すれば、登記簿抄本や実印、まるで金庫丸ごと持ち歩かねばなりません。

 

となると、個人宅にも「津波や土砂で壊れない、流されない」重たい金庫が備わっていないと、誰も捜し出せるはずがありません。

これを書いてしまうと、余計に「非常持出袋」に貴重品を仕舞いこむ方が増えるんですね。けっして「非常持出し袋」には貴重品、特に通帳・印鑑は入れない様に。

ドロボーにとって物色しなくとも、「非常持出袋」さえ持って行けばいいのですから… なにもドロボーを楽にさせる事はありませんよ。

 

ちなみに、非常持出品は圧迫と水濡れに対応する「衣装ケース」や「道具箱」などに入れ、中にリュックを入れておくと良いですよ。後で掘りだし、詰め替えられますので…。

給付対象者になるのか?怪しいところ…

遺体が発見されない状態が長期間続けば、タイミングによっては義損金還付に該当しない恐れもあります。

不明者の場合、法的には一年後(災害時は発災日より)に、ようやく死亡届が出せます。

 

死亡届(死亡確認)が出されている方には、「遺族」等にも何らかの配慮はなされる事でしょうが、身体が出て来ない以上、「どこの誰?」がクリアできません。

それも死亡確認してもらえる方が居ての事です。独り身や、一家全員犠牲となってしまえば、確認の取りようもないのです。

 

それと、県外からの学生など、住民票を移動しない方(※1)です。

義損金もさる事ながら、住民票が役場になければ存在すら見えません。

特に大学生や転勤族の単身者が多いでしょうが、この方が波にのまれ不明となり、更に、通う学校も会社も機能しない状態だと、「誰が健在で、誰が居ないのか?」。これを調べるにも時間がかかってしまいます。

 

きっと2011年3月11日の「東日本大震災」時にも、この類いの方々も居られてのではないでしょうか?

特に日本国は災害の多い国です。

これらを深く受け止めて、居住先が決まれば「住民票」も移す事ですね。

 

更には、上記の2つに該当しない、旅先被害と言うのもあるのですから…。

 

ホテルには宿泊者リストはあります。しかし、列車での移動中だったら?

鈍行列車では切符の発行枚数まではわかるでしょうが、アナタだとはわかりません。

特急列車でも「どこまで行く乗客の席」までは判明するでしょうが、「誰が?」は見えません。途中下車しているかもしれませんしね。

当然、出張者もこの条件に該当する事になります。

 

さて、災害により職を失えば、サラリーマン(雇用者)ならば、失業給付対象にはなります。約3ヶ月間ほどは支給されるでしょう。

但し、通常は数カ月後からの支給となり、災害時でも即時支給となるかは、その時点での特例法、特措法次第ではありますね。

 

ところが自営業者となると、雇用ではありませんので、失業給付金などの制度には該当しません。

 

被害度が高くとも、店鋪への救済金は期待出来ませんし、自費で再建する事となります。

それこそ、地震や災害対応の損害保険を活用するか、自治体や国が発表する、事業継続・再建への基金や助成金、借り入れのお世話が必要です。

ここでは多重ローン(債務)も問題となるでしょうし、その間の収入が得られないのです。

問題はそれだけでは無く、再建できなければ→職を求めて土地を離れる→土地の人口低下→町の破綻の引き金ともなって行きます。

 

損得感情が表面化する瞬間ともなりますので、災害多発地域で起業する際は、損益には災害時の事も考慮すべき!と考えておきます。

 

個人も企業も自営業者も、災害後のアンテナ(聞き耳)だけは、たくさん建てておき、公的機関だけでは賄えない事も考え、支援NGO、NPOが立ち上げる、職プランにも目を向けておくと何らかの情報が得られます。

 

また逆に、支援NGO、NPOと一緒に、同じ境遇者と組織する事も可能です。

そこから新たな商業や産業、職として発展する可能性もあります。

同じ業界者へのアプローチも必要となるでしょうから、この方面は重要かも知れませんね。

 

全国に同業者が多くあれば、その方々からの援助が受けられるシナリオが必要となるでしょう。


※1 住民票が被災地にない場合は?

被災場所と免許証住所が違う場合など

 

被災した住所に住民票がない場合は、電力会社やガス、水道料金といった公共料金の支払い証明書を発行してもらえば、住居として使用していることになり罹災証明や公的支援金を受け取れる場合があります。

 

未経験な自治体では、住民票(あなたのデータ)がないことで、受け付けてもらえないケースが多くあります。

 

大半の災害時には、復旧・復興期に法律相談の窓口を作ることになりますので、ご相談下さい。